ラストオブアス2の魅力を徹底解説する完全ガイド

2020年6月の発売から数年が経った今でも、「ラストオブアス2」について語られる熱量は衰えることを知りません。個人的にも、このゲームをクリアした直後の数日間は、まるで重厚な映画を観終えたあとのような余韻が消えなかったことを覚えています。復讐の連鎖が人間にもたらすものとは何か。Naughty Dogが問いかけたそのテーマは、ゲームという枠を超えて心に深く刻まれるものでした。
これからプレイを検討している方、プレイ中で攻略のヒントが欲しい方、あるいはストーリーの全体像を改めて整理したい方に向けて、本作の魅力をあらゆる角度から掘り下げていきます。
この記事で学べること
- ラストオブアス2はGolden Joystick Awards 2020でGame of the Yearを受賞した傑作である
- エリーとアビーの二つの視点が復讐の本質を多角的に描き出す構造になっている
- 匍匐や回避など前作から大幅に進化した戦闘システムがサバイバル体験を深化させる
- リマスター版で追加された「No Return」モードがローグライク的な高難度体験を提供する
- 感染者だけでなくWLFやセラファイトなど人間勢力との三つ巴の戦いが緊張感を生む
ラストオブアス2の基本情報と作品の位置づけ
まず、本作の全体像を整理しておきましょう。
「The Last of Us Part II(ラストオブアス2)」は、Naughty Dogが開発し、2020年6月19日にPlayStation 4向けに発売されたサバイバルアクションゲームです。前作「The Last of Us」の続編にあたり、Golden Joystick Awards 2020においてGame of the Yearを受賞するなど、世界的に極めて高い評価を得ました。
ジャンルとしてはサバイバルアクションに分類されますが、その本質は「インタラクティブな映画体験」と言っても過言ではありません。三人称視点(TPS)で展開されるステルスアクションを軸に、プレイヤーは荒廃したアメリカを舞台にした壮絶な物語を体験していきます。
ラストオブアス2のストーリーと物語の構造

本作のストーリーは、前作から5年後、パンデミック発生から25年後のアメリカが舞台です。ワイオミング州ジャクソンとワシントン州シアトルという二つの都市を中心に、壮大な復讐劇が展開されます。
前作からの繋がりとエリーの成長
前作で14歳の少女だったエリーは、本作では大人の女性へと成長しています。ジョエルとともにジャクソンのコミュニティで比較的平穏な日々を送っていましたが、その関係性には前作のラストで生じた亀裂が存在しています。
前作でジョエルが下した「ある決断」が、二人の間の信頼関係に影を落としているのです。この微妙な関係性の変化は、本作の物語全体を貫く重要な伏線となっています。
復讐の連鎖が描く人間の本質
物語は、コミュニティの平和を打ち砕く衝撃的な事件から動き出します。
エリーは愛する者を奪われた怒りと悲しみに突き動かされ、復讐の旅へと踏み出します。ジャクソンからシアトルへ。その道程で彼女が目にするのは、荒廃した世界の残酷さだけではありません。復讐という行為そのものが、自分自身をも蝕んでいく現実です。
復讐の物語は、単なる「善と悪」の対立ではない。すべての人間に正義があり、すべての暴力に代償がある。それを体感させるのがラストオブアス2の真の恐ろしさである。
エリーとアビーの二つの視点による物語構造
本作の最も革新的な要素の一つが、エリーとアビーという二人の主人公を通じて物語を体験する構造です。
プレイヤーはまずエリーの視点で物語を追い、やがてアビーという別のキャラクターの視点へと切り替わります。アビーの背景、動機、人間関係を知ることで、プレイヤーが最初に抱いていた感情は大きく揺さぶられることになります。
この視点の切り替えは、単なるゲーム的なギミックではありません。「相手の立場に立つ」という行為を、ゲームプレイそのものを通じて体験させる仕組みなのです。個人的にこの構造に触れたとき、物語に対する自分の先入観がいかに一面的だったかを痛感しました。
ラストオブアス2の舞台と世界観

本作の舞台は、感染症のパンデミックによって文明が崩壊したアメリカです。自然が人間の営みを飲み込み、かつての都市は緑に覆われた廃墟と化しています。
ワイオミング州ジャクソンの平和と脆さ
物語の出発点となるジャクソンは、崩壊した世界の中で奇跡的に機能しているコミュニティです。壁に囲まれた安全な居住区で、人々は農業や巡回パトロールを行いながら日常を取り戻そうとしています。
しかし、その平穏は常に脅威と隣り合わせです。壁の外には感染者が徘徊し、略奪者たちが獲物を狙っています。ジャクソンの穏やかな日常が丁寧に描かれるからこそ、それが崩壊する瞬間の衝撃が際立つのです。
シアトルの荒廃と勢力争い
エリーの復讐の旅の主戦場となるシアトルは、本作の世界観を象徴する場所です。
Naughty Dogの最新エンジンで描かれたシアトルの風景は、息を呑むほど美しく、そして恐ろしい。ビルの隙間から木々が生い茂り、道路はひび割れた舗装の間から草花が顔を出しています。かつての大都市が自然に還りつつある姿は、人間の文明の儚さを静かに語りかけてきます。
このシアトルでは、二つの大きな人間勢力が対立しています。
WLF(ワシントン解放戦線)とセラファイトの対立
WLF(Washington Liberation Front)は、軍事的な組織力を持つ武装勢力です。統率された部隊運用と豊富な武器を背景に、シアトルの広い地域を支配しています。
一方のセラファイトは、宗教的な信念に基づく集団です。原始的な武器を使いながらも、ゲリラ戦術と狂信的な忠誠心によってWLFと互角に渡り合っています。
WLF(ワシントン解放戦線)
- 軍事的に組織された武装勢力
- 近代的な武器と統率された部隊運用
- シアトルの広域を支配下に置く
セラファイト
- 宗教的信念に基づく狂信的集団
- 弓矢など原始的武器とゲリラ戦術
- 独自の掟と厳格な階層構造を持つ
エリーはこの二大勢力の争いに巻き込まれながら、さらに感染者の脅威にも対処しなければなりません。人間同士の争い、感染者の襲撃、そして自らの復讐心。三つの脅威が絡み合う中で、プレイヤーは極限のサバイバルを体験することになります。
ラストオブアス2のゲームシステムと戦闘メカニクス

本作のゲームシステムは、前作の基盤を大幅に進化させたステルスアクションです。プレイヤーの選択肢が格段に広がり、一つの戦闘シチュエーションに対して複数のアプローチが可能になっています。
前作から進化したステルスシステム
ステルスは本作の戦闘の核です。
背後からの静かなキルは前作同様に健在ですが、本作では匍匐(ほふく)移動が新たに追加されました。草むらに伏せて敵の足元をすり抜けたり、車の下に潜り込んで追跡をやり過ごしたりと、立体的なステルスプレイが可能になっています。
また、レンガやボトルなどの投擲物で敵の注意を引きつけるシステムも健在です。敵を特定の場所に誘導してから背後を取る、あるいは敵同士を鉢合わせさせるなど、環境を利用した戦術的なプレイが楽しめます。
多彩な武器と近接戦闘
武器のバリエーションも大幅に拡充されています。
ラストオブアス2の武器カテゴリ
近接戦闘では、新たにコンボシステムが導入され、連続攻撃で敵をノックダウンさせることが可能になりました。前作では近接戦闘はやや単調でしたが、本作ではタイミングを見計らった打撃の連携が重要になっています。
回避アクションとダッシュジャンプ
前作から最も大きく変わった要素の一つが、回避(ドッジ)の追加です。
敵の攻撃に合わせてタイミングよく回避ボタンを押すことで、近接攻撃をかわすことができます。これにより、近接戦闘がよりダイナミックで緊張感のあるものに進化しました。感染者のクリッカーが突進してきた瞬間に横に飛んでかわし、背後から一撃を加える。そんなアクション映画さながらの動きが自然にできるようになっています。
さらにダッシュジャンプも新要素です。走りながらジャンプすることで、これまで越えられなかった障害物を乗り越えたり、建物間を飛び移ったりと、探索の幅が大きく広がっています。
難易度設定とプレイスタイルの自由度
本作では複数の難易度レベルが用意されており、アクションゲームが得意でない方でもストーリーを楽しめる設計になっています。
注目すべきは、難易度のカスタマイズが非常に細かく設定できる点です。敵のダメージ量、資源の豊富さ、敵のAIの賢さなど、個別の要素を自分好みに調整できます。「ストーリーは楽しみたいけど、戦闘は歯ごたえが欲しい」といった細かなニーズにも応えてくれるのは、Naughty Dogの丁寧なゲームデザインの表れでしょう。
感染者の種類と対処法
ラストオブアス2の世界では、寄生菌(コーディセプス)に感染した人間が凶暴な「感染者」と化しています。感染の段階によって異なるタイプの敵が存在し、それぞれに適した対処法が求められます。
ランナーとストーカー
感染初期段階のランナーは、まだ人間の面影を残しながらも凶暴化した存在です。視覚で獲物を捉え、群れで襲いかかってきます。単体では脅威度が低いものの、数で押してくるため油断は禁物です。
ストーカーはランナーよりもやや進行した段階で、物陰に隠れてプレイヤーを待ち伏せる厄介な存在です。暗い建物の中で突然飛び出してくるため、聞き耳を立てながら慎重に進む必要があります。
クリッカーとブローター
感染が進行したクリッカーは、視覚を完全に失い音で獲物を探知します。独特のカチカチという音(エコーロケーション)で周囲を把握しているため、足音を立てずに移動することが生存の鍵です。掴まれれば即死級のダメージを受けるため、正面からの戦闘は極力避けるべきでしょう。
ブローターは感染の最終段階に近い大型の感染者で、全身を菌糸の装甲で覆われています。通常の攻撃ではほとんどダメージが通らず、火炎瓶やグレネードなどの爆発物が有効です。
シャンブラー(本作の新感染者)
ラストオブアス2で新たに登場したシャンブラーは、湿度の高い環境に適応した感染者です。体から腐食性の胞子を放出し、近づくだけでダメージを受けます。倒した際にも胞子が爆発的に放出されるため、距離を取って戦うことが重要です。
クラフトと成長システム
サバイバルゲームとしてのラストオブアス2を支えるのが、資源管理とクラフトのシステムです。
資源の収集とクラフトの重要性
フィールド上に散らばるパーツ、火薬、布、アルコールなどの素材を集め、それらを組み合わせて回復キットや火炎瓶、近接武器の強化パーツなどを作成します。
資源は常に不足気味に設定されており、「何をクラフトするか」という選択が戦略的な意味を持ちます。回復キットを多めに作って安全策を取るか、爆発物を作って攻撃的に進むか。プレイヤーのスタイルによって判断が分かれるところです。
スキルツリーによるキャラクター強化
本作にはスキルツリーが存在し、サプリメントと呼ばれるアイテムを消費してエリー(またはアビー)の能力を強化できます。ステルス関連のスキルを伸ばせば静かに敵を排除する能力が向上し、戦闘系スキルを伸ばせば正面からの戦いが有利になります。
スキルツリーは複数の分岐があり、一周のプレイですべてを取得することはできません。どの能力を優先するかという選択が、プレイ体験の個性を生み出しています。
同じくアクションアドベンチャーとして高い評価を受けているゴーストオブツシマでも同様のスキル選択システムが採用されていますが、ラストオブアス2ではより「生存」に直結した切迫感のある選択を迫られる点が特徴的です。
リマスター版の追加要素
オリジナル版の発売後、PS5向けにリマスター版がリリースされました。グラフィックの向上やパフォーマンスの改善に加え、注目すべき新コンテンツが追加されています。
「No Return」モードの魅力
リマスター版最大の目玉が、「No Return」モードです。
これはローグライクスタイルの新しいゲームモードで、ランダムに生成されるマップ、ルール、敵の種類、報酬の中でサバイバルを繰り返すものです。本編とは異なり、毎回異なる条件で挑戦するため、高いリプレイ性を持っています。
このNo Returnモードでは、エリーだけでなくアビーを含む複数のキャラクターでプレイ可能です。キャラクターごとに使える武器やスキルが異なるため、それぞれ異なる戦術が求められます。
経験者向けの高難度設計になっているため、本編の戦闘システムを十分に理解してから挑戦することをおすすめします。
リマスター版のその他の改善点
グラフィック面では、PS5のハードウェア性能を活かした描画の向上が施されています。特にキャラクターの表情やライティングの精度が上がり、すでに高い評価を受けていたビジュアルがさらに磨き上げられました。
なお、当初計画されていたマルチプレイヤーモードの開発は中止が発表されています。本作はあくまでシングルプレイヤー体験に特化した作品として完成しています。
前作との比較と進化のポイント
ラストオブアス2が前作からどのように進化したのか、主要な変更点を整理してみましょう。
前作からの主な進化ポイント
特に敵AIの進化は特筆に値します。本作の人間の敵は互いを名前で呼び合い、仲間がやられると悲鳴を上げ、組織的にプレイヤーを追い詰めてきます。「敵にも人生がある」ということを、ゲームプレイの中で否応なく感じさせる設計です。これは復讐の虚しさを描く本作のテーマと、ゲームメカニクスが見事に融合した例と言えるでしょう。
ゴーストオブツシマの攻略でも敵AIの行動パターンを把握することが重要ですが、ラストオブアス2の敵はより人間臭い反応を見せるため、心理的なインパクトが段違いです。
ラストオブアス2をこれから始める方へのガイド
本作に興味を持っている方に向けて、プレイ前に知っておくと良いポイントをまとめます。
前作のプレイは必須か
結論から言えば、前作のプレイは強く推奨します。本作は前作の物語を前提として構築されており、キャラクターの関係性や感情の機微を理解するには前作の体験が不可欠です。前作をプレイしていなくても物語の大筋は理解できますが、感動の深さは確実に異なります。
プレイ時間の目安
メインストーリーのクリアには、おおよそ25〜30時間程度を見込んでおくとよいでしょう。探索をじっくり行う場合はさらに時間がかかります。収集物をコンプリートしようとすると、35〜40時間以上になることも珍しくありません。
この作品が向いている人
ラストオブアス2が向いている方
本作は「楽しい」よりも「心に残る」体験を提供するゲームです。プレイ後に何日も考え込んでしまうような、深い余韻を求める方にこそ手に取っていただきたい作品です。ゲームにおけるストーリーテリングやBGMの重要性は、こうした没入型の作品でこそ真価を発揮します。
ラストオブアス2に関するよくある質問
ラストオブアス2は前作をプレイしていなくても楽しめますか
ゲームシステムの面では前作未プレイでも問題なく遊べます。しかし、物語の核心であるエリーとジョエルの関係性、前作のラストで起きた出来事の意味を理解するには、前作のプレイが事実上必須です。少なくとも前作のストーリーをあらすじでも把握してからプレイすることをおすすめします。
ゲームの難易度は高いですか
難易度は複数段階から選択でき、さらに個別の要素を細かくカスタマイズできます。「ストーリーを楽しみたい」という方向けの低難度設定も用意されているため、アクションゲームが苦手な方でも安心です。一方で、高難度設定やNo Returnモードは歯ごたえのある挑戦を求めるプレイヤーを十分に満足させてくれます。
プレイ時間はどのくらいかかりますか
メインストーリーのみで約25〜30時間、収集物やサブコンテンツを含めると35〜40時間以上が目安です。リマスター版のNo Returnモードはランダム生成のため、やり込み次第でさらに数十時間のプレイが可能です。ボリュームとしては非常に充実しています。
リマスター版とオリジナル版の違いは何ですか
リマスター版(PS5対応)では、グラフィックの向上、ロード時間の短縮、DualSenseコントローラーのハプティックフィードバック対応に加え、新モード「No Return」が追加されています。オリジナル版をすでにプレイした方でも、No Returnモードだけで十分に再購入の価値があると感じる方は多いようです。
ラストオブアス2のマルチプレイヤーモードはありますか
当初マルチプレイヤーモードの開発が進められていましたが、開発中止が正式に発表されています。本作は完全にシングルプレイヤー専用のゲームです。その分、シングルプレイの体験に開発リソースが集中しており、一人でじっくりと物語に没頭できる設計になっています。
まとめ
ラストオブアス2は、ゲームというメディアが持つ表現力の限界を押し広げた作品です。
復讐の連鎖がもたらす破壊と虚無。相手の視点に立つことで揺らぐ正義の概念。そして、それでもなお人間が求める「赦し」の可能性。これらのテーマを、プレイヤー自身の手で体験させるという点で、本作は他に類を見ない達成を果たしています。
ステルスアクションとしての完成度も極めて高く、匍匐、回避、コンボといった新要素が前作の基盤を着実に進化させています。リマスター版のNo Returnモードは、本編クリア後のやり込み要素としても秀逸です。
まだプレイしていない方は、ぜひ腰を据えてこの物語に向き合ってみてください。クリアした後、きっと誰かとこの作品について語りたくなるはずです。